KLEIN Fervor 1994(KLEIN USA) 近代化改修 Updating
#10 リアディスクの研究
オールドクラインの弱点として、最新の部品に対応しにくいというのがありますな。ディスクブレーキシステムなどはその最たるものです。いわく、オールドクラインにディスクなどありえないという常識があるわけ。今回は、この常識を覆すことができるかについて、研究を行います。
【趣旨】
さまざまなところから、ディスクブレーキの評価を聞くに付け、だんだん気になってきたところ。レースでもけっこうなライダーがディスクを装着しているし、、、で、ディスクも次第に洗練されてきて、重量も軽くなってきました。扱いやすくもなっているみたい。リムもディスク専用リムが増えてきた。なにより、ブレーキングが天候に左右されないというのが魅力ですな。泥詰まりも軽減されよう。
クラインバイクスが初めてリアディスク対応となったのは1999年モデル。これはポストタイプのマウントが付いていました。その後、2001年モデルから、インターナショナルディスクマウントが装備されました。
当然ながら、それ以前のクラインにディスクマウントなどというものはなかった。主宰のファーバーが生産された1994年当時は、XCバイクにディスクブレーキを装着するという概念自体珍しいことでした。(あることはあった。AMPリサーチ社がXC用ディスクを販売していました)
むしろ、その当時は、Magraのカンチレバータイプの油圧ブレーキを選択するのがポピュラーだった。これは構造が簡単で、無改造で装着可能だったので便利。トライアル用途などに、いまでも使われています。
ラスカル/ファーバーのリアエンドは、いわゆるホリゾンタルドロップアウトという形式で、クライン独自のものですな。
これはけっこう大きなエンドで、アルミ無垢で作られています。金属加工に詳しい方によれば、アクスルがはまる部分はワイヤーカッティングされたものらしい。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nunome/otakara/mtb.html
形状は無骨ですが、生産方式は非常に洗練されているわけ。そして、そうとう頑健な構造といえる。ここにディスクマウントを増設できればよいのですけど。
【手法】
増設の方法としては2つ。一つはマウントを溶接する方法。これがもっとも洗練された方法ですが、一度熱処理されたアルミを再度溶接するのは少々リスクがあるような気がする。そして、溶接技術を持った業者を探すのは、相当苦労しそう。
もう一つは、後付のディスクマウントをボルトオンで装着するという方法。これは、後付のマウントがエンドにぴったり合えば、非常に簡単に装着できますが、強度的に疑問点がありますよ。
【実証】
現実的な案としてボルトオン・マウント方式を選んでみました。溶接には相当の勇気が必要ですからな、、、で、ボルトオン・マウントですが、あんまり市場に出ていないんです、、、それでも探してみたところ、こんな製品をみつけることができました。価格は3800円 くらいとリーズナブル。
http://www.funfancy.co.jp/catalog_prts/a2z/cata_a2z_02.html
これはメリケンのパーツメーカーで、ディスク関係の製品ではけっこう有名どころみたいです ね。形式はインターナショナルマウント。ボルトオンだけでは脱落の危険があるので、安全性を確保するため、アクスル軸を通して装着するようになっています。そして、このアクスル軸用の穴に合わせることによって、ディスクマウントの位置を正確に合わせることができるということなのだろう。装着にあたっての注意事項は、エンドが普通の形状で、厚さが5ミリ以上あること。
ホリゾンタルドロップアウトの場合、厚さは8mmくらいあるので十分クリアしていますが、エンド形状はどうだろう?普通とは言い難いよな、、、いやむしろ特殊。ちょっと不安。
さっそくこの製品の画像をプリントアウトして、実際にホリゾンタルドロップアウトにあわせてみました。
おおっ!いいじゃん!と最初は思ったんですが、実際には黒いプレート部分に、ストレートドロップアウト用に、ハブが抜けていく切り欠きがあるんです。つまり、ホリゾンタルドロップアウトには対応していない。
むう、、、残念。
【結論】
いろいろと検討した結果、この製品は無改造ではホリゾンタルドロップアウトには付かないことが分かりました、、、ストレートドロップアウトか、ロードエンド用なんですね。
http://homepage1.nifty.com/kadooka/terms/end/end.html
金のこで、干渉するプレートを切断するなどの改造すれば無理につけられないことはないとは思いますが、強度的に不安になります。
それ以上に、最も重要な問題があります。
ディスク用として設計されていないチェーンステイとシートステイが、ディスクの強烈なストッピングパワーに耐えられるか、、、疑問。
ただでさえ96年以前のクラインのチェーンステイの肉厚は、非ドライブサイドのほうがドライブサイドに比べ、10%以上薄くなっているということもあり、、、→ 参照 patents.html
そう考えるに付け、ディスク化には相当のリスクが伴うことが分かり、取りあえず現状では断念、ということになりました。
将来的には、フロントサスペンションのみにディスク装着ということになるかもしれませんな。