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MT.鳥海バイシクルクラシック 

秋田・由利本荘・矢島 2006.7.30


【はじめに】

いままで、レースといえばマウンテンバイクのレースしか出たことはない。ロードレースの経験はないのだ。わずかにセンチュリーランにはロードバイクで出たことはあるが、あれは順位を競うレースではないのだ。

ロードレースといえば、マウンテンバイカーとは全く異なった人たちが集まる。具体的には、大人数のチーム、カラフルなジャージ、でかいクリートの付いたロードシュー、指切りグローブ、そして高価なバイクがずらっと並んだ華やかな姿を想像してしまう。

そんな中、マウンテン用のSPDペダルに、マウンテン用シューズ、バイザー付きヘルメット、フルフィンガーグローブといったマウンテンバイカー・スタイルのオレが、ロードバイクに乗り換えて参加して、ロードレースの雰囲気を味わってみました。ただし、ヒルクライムだけどな。それもいきなりフルクラスで参戦ですな。無謀かね。

そして実際のレースはどうだったか。初めてのレースにはトラブルが付きものだが、、、そのトラブルがスタート直前のオレを襲います。


【バイク】

今回は、Quantumで参加しました。こいつはフロントダブルのロードバイク。それほど軽量ではなく、9kgをようやく切るか、といったところ。重いホイールがついているからね。今回のレースのためにしたことは、ボトルケージを2つにしたくらいです。コグセットは12−27という山登り仕様にしてあったので、ここは変更しなくてOK。


【会場まで】

スタート時間は8時32分とのことなので、少なくとも3時間前までにはご飯を食べておかなければなりません。んっ?これはマウンテンバイクの常識なのだが、ロードではどうなんだろう。全くわからん。しかし、オレなりの経験を適用するしかない。そこで、自宅を朝4時10分に出発しました。順調にいけば5時30分には現地に着けますな。

暗がりを突き進む

会場の羽後本荘市・矢島は、かつてこの地域の交通の要衝であったらしい。そこに至るまではまことに風光明媚な田園の道を通ります。

先日iTMSで一曲だけ購入した「湯川潮音」という人の歌を聞きながら走りますが、これが後のレースでの脳内ヘビーローテーション楽曲となってしまった。実に美しい歌声だ。そう、まるでビョークのような不思議な声なのだ。みんなも要チェックや!

会場に着くと、まだ5時半だというのにすでに交流施設「日新館」前は参加者の車でぎっしりだ。キャンプしている人も多い。前日から駐車しているのでしょうな。そこで、ちょっと離れたJAの駐車場に駐車して、召集時間を待ちます。持ってきた雑誌を読んでいるうちに、だんだん緊張してきた。

ところで、6時半すぎにご飯を食べている人が目に付く。あと2時間もないが、ダイジョウブなのか?まあ、オレの体じゃないのでいいけどな。


【今回の目標】

今回はオレにとって初めてのヒルクライムのロードレース。はたしてオレのようなマウンテンバイカーが、どこまでやれるか、正直、皆目見当が付かない。

このレースの一般的な目標は、1時間30分を切ること、とされているようだが、オレの場合、膂力がないので、まあ、チャンピオンクラスの優勝者の2倍くらいのタイム、つまり2時間を切るということで今回は勘弁してもらいたい。


【コースの状況】

町内のメインストリートをパレードして、大型スーパーの駐車場に集合。そこからクラス別にスタートするのだ。あとは、ひたすら登りです。そう、、、28km、標高差1100m。天候は、晴れ。気温は25度以上になりそうだ。梅雨の晴れ間なのだ。

すでに5時半にはクルマがぎっしり


【今週の絶体絶命】

召集時間は7時50分ということなので、7時20分にバイクを組み立てた始めた。エア入れ、シフター、持ち物の最終チェック後、ヘルメットを装着しようとしていると、バイクから、プシューという激しくイヤな異音が。

よく見ると、後輪がパンクしている。エアの入れすぎが原因か?時はすでに7時30分。あと20分しかねーよ!ここで全身から脂汗が発します。急ぎホイールを外し、タイヤをリムから外してパンク修理します。組み上げると、すでに7時45分。なんとか召集には間に合ったものの、非常に危険なシチュエーション。焦ったー。

しかし、このパンクの原因は、実はエアの入れすぎではなかった。真の原因はゴール後、明らかになります。


【ヒルクライムの進行】

パレードのあと、マスドスタートします。オレのクラスは総勢200名以上はいるだろうか。まあ、最初はしゃかりきになっても、ペースを崩すだけだ。前の集団にずっとくっついていきます。

しかし、28kmの登りは、ひたすら単調だ。斜度は平均すると4%くらいだろうか。

序盤から、朝にクルマの中で聴いた「湯川潮音」のビョークのような声が脳内ヘビーローテとなっていきます。

その後は、とびとびの記憶しかない。それほど単調なのだ。心拍はおそらく150前後で推移しているはずだ。(ハートレートモニターをつけてないけど、エアロバイクのときの感覚で、だいたいわかる)

筋肉に乳酸が溜まった感じがしない。もっと心拍を上げればいいのかもしれないが、そこまでトレーニングしていないのだ、、、

ということは、それほどつらくはないのだ。意外なことに。むしろ、マウンテンバイクのXCレースの方がきつい。宮城の「たつがね」を100としたら、こちらは60くらいだろうか。


さて、登りはいったん平坦から下りになり、14km地点に到達。ここで、ハーフクラスがゴールし、オレたちフルクラスはさらに登坂を続けます。この中間地点までは400m上ってきたことになりますが、これ以降、さらに700mを14kmで登る必要があります。むおーっ!

このあたりから、自分なりに短期的な目標を立て始める。具体的には、前方を行く「黄色いもの」に追いつくことにしたのだ。たとえば、前方を走る人の黄色いジャージとか、黄色いバイクとかな。

そして、前方の選手を抜きにかかります。いままでさんざん抜かれていたので、ここから溜飲を下げ始める。そう、どんどん溜飲を下げる。ぐびぐび(溜飲を下げる音)、、、ゴールまで40人以上は抜いただろうか。まあ、オレが抜ける相手は、ペース配分に失敗した人か、足に痙攣を起こしている人かどちらかなので、オレがすごいわけではないがね。


そんななか、20kmを越えるとオレ自身の足にもときおり痙攣が走るようになった。しかし、こぎながら足を一瞬ストレッチするなどでなんとか走り続けます。25kmをすぎると、オレがパスする選手に女子の方が多くなる。この人たちは先行スタートしていた女子カテゴリーの選手たちですな。このへんになると、なぜかオレ自身、心肺機能にだいぶ余裕ができはじめる。ここでもうすこしがんばれたかも知れなかった、とあとで反省している。

最後のきつい登り1kmを過ぎ、ようやくゴール。

時間は1時間44分、総合順位は、657人(エントリー)中、444位でした。ゾロ目かよ!


【メカトラ原因究明】

親切なスタッフの皆さんから冷たいおしぼり、スイカ、水などをもらい、休んだ後、バイクをチェックして驚いた。

タイヤのサイドケーシングに、長さ8mmくらいの亀裂が走り、そこからヘルニア状にチューブがはみ出ているではないか。これが、実はスタート前のパンクの原因だったのだ。急いでチューブの修理をしたので、いままで発見できなかったのだ。

このタイヤ、一本2000円弱という超安価なタイヤだったのだが、いくら安いと言っても、普通、ケーシングは裂けねーだろ?丈夫だっていうから買ったのに、、、まだ1000kmも走ってないし、推奨空気圧で走っていたのに、、、ひどすぎる、、、よく見ると、サイドにいくつもの亀裂の目っぽいのがある(ように見える)。ケーシングの材質に問題があるんじゃないか。マビックのサポートの人は、小石が原因かも、とおっしゃっていたが、、、たとえ小石が原因であろうと、このメーカーのロードタイヤは、もう買わねーよ!

I don't
Recomend you to obtain any tires of the
Company.

プンプン。今度はヴィットリアか、ミシュランか、コンチネンタルにしよう。

たぶん、このままで走っていると、相当に車体に負担のかかる下山では、間違いなくタイヤのバーストは避けられますまい。大事故につながりかねん。マビックのサポートカーの所に赴き、サポートの人からホイールをお借りして下山することにした。サービスの方が渡してくれたのは、Mavic Ksyriumホイール。すごく剛性感があり、いいぜ!ちと、欲しくなったよ、、、金ないので買えないが。

下山はみんなで一緒にゆっくり下ります。40分以上かかりましたがね。


【わかったこと】

今回は、初めてのロードバイクでのレースということで、なかなか勝手が違った。予期せぬメカトラに襲われたが、冷静に対処することで、結果的には完走できた。実際には薄氷の上だったことがわかり、肝を冷やしたわけが。

反省点は多い、、、もっと心拍数を上げるよう、冬から春にかけてトレーニングをすれば、次回はタイムも向上するだろう。あと、安いタイヤだけはやめておきたい。足を一度も地面につかなかったのはよかったかな。

この大会は、非常によくオーガナイズされており、スタッフも手慣れたものだ。感心しました。次回も、参加してみたい。目標としては、1時間30分を切ってみたいもんだ。


まとめの感想だが、ヒルクライムは、結局は自分の心拍数との闘いということか。ここでは、シングルトラックでの敏捷性とか、瞬間的な路面状況の判断、体重移動とかのマウンテンバイク的なライディングテクニックなどは不要だ。単に、足を動かす心肺能力と脚、ペース配分のテクニックが要求される。そういう意味では、より持久的な身体能力が問われる。

つまり、ロードとマウンテンは、同じ2輪の乗りもので競うものだが、本当に全く違うということがわかった。ボクシングと空手ほど違う、と例えることができるだろうか。あるいはコウモリとムササビ?コケとビロード?ハシビロコウとマネキン?だんだん例えがヘンになっていくので、この辺にしておきたい。

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